(朝日新聞社 承諾書
「京都)なりすまして高額請求 サクラサイト商法ご用心」と題して、2016年8月4日 朝日新聞が報じています。
今回、朝日新聞社のご協力により同記事を本サイトに掲載させていただきました。
同記事の本文テキスト部分は下記の通りです。ぜひ、ご参照ください。
異性や有名人、占師らになりすまして、有料のメール交信サービスなどを利用させる「サクラサイト商法」の被害が後を絶たない。同商法の中では、出会い系サイトの被害が減少傾向を示す一方、ネット関連の詐欺的手口が多様化している。京都弁護士会は24日に無料の電話相談を実施し、注意を呼びかける。
■50歳女性1件1500円 「ずるずる」4000件
「いま振り返るとほんとにバカだと思うが、ずるずると抜け出せなくなって」
府内の会社員女性(50)は昨年6月から今年2月にかけ、「占い鑑定の専門サイト」に約580万円をつぎ込んだ。携帯電話でニュースを閲覧していて、同じ画面にあった「生年月日を入力すれば無料で占います」と書かれたバナー広告を、軽い気持ちでクリックした。
「開運」をうたうサイトに誘導され、サイトの運営者からメールでIDとパスワードが送られてきた。「著名な鑑定士や人気の占師」による鑑定相談2回分が、初回登録のサービスで無料という。試してみると、鑑定結果はすぐに出た。「天下を治めた徳川家康と同じ天授の相がある」。その気になった。
無料相談が終わると、サイト独自のポイントを購入する有料制に切り替わった。相談する際、鑑定士や占師とメールでやりとりする仕組みに。メールを1件送るごとに150ポイント(1500円)が必要となった。
陰陽師・安倍晴明の子孫、霊獣鑑定士、イタリアの従軍聖職者などと名乗る40人もの鑑定士や占師が入れ代わり立ち代わり、メールを送ってきた。悩みや人生でつらかったことを尋ねる大ざっぱな質問が多く、「金運鑑定するから5桁の数字を選んで」などと、意味不明な指示もあった。
その度に女性は150ポイントを使って回答した。1日に30件に達したこともあった。やめようと思っても「今やめたら水の泡になる」「あと少しで運が開ける」などと説得され、クレジットカードや電子マネーの支払いは膨らんでいった。送信したメールは4千件近く。「お金をつぎ込んだから、運をつかむまではやめられなかった」
今年2月、偶然に女性が利用してきたサイトを問題視するネット掲示板を見て不安になり、府消費生活安全センターに相談した。弁護士がサイト運営者と交渉し、支払った額の8割強の480万円を取り戻した。交渉を担当した鎌田健司弁護士は「解決に至るのは氷山の一角だ。泣き寝入りする人が多い」と話す。
■相次ぐ被害 手口多様化 24日電話相談 京都弁護士会
独立行政法人・国民生活センターによると、「サクラサイト商法」の典型的な例が、「出会い系サイト」を利用したことをきっかけにポイントを購入させられるケース。2015年度の相談件数は3301件で、11年度の6278件より減っている。だが、同センター相談情報部の担当者は「出会い系」以外の手口の統計がないとしながらも、「副業サイトや占いサイトなどの被害報告は増え、手口が多様化している」と指摘する。
サクラサイト商法について京都弁護士会は24日午前10時~午後5時、出会い系サイト被害対策弁護団の弁護士が中心となり無料の電話相談窓口を開設する。高橋映次弁護士は「回収しようと深みにはまり、一度要求を受け入れると次々と大きな要求にも応じてしまう。そんな心理につけ込まれるので、特定の人の問題ではない」と話している。(足立耕作)